20131024

The Libatape

 患者に「リバテープちょうだい。」といわれた。リバテープ…。わからなかったので聞き返すと「カミソリに負けて血が出たからリバテープちょうだい、小さいのがいいよ。」と戻ってきた。なんのことだろう。ナースステーションに戻って同僚に「リバテープってわかる?」と聞くと、変な顔をされた。僕が困っていると、同僚は面倒くさそうに包交車から絆創膏を出して僕によこした。「え?これバンドエイドじゃん。」というと、同僚はまた訝しげな顔をしてどこかへいってしまった。なにがなんだかさっぱりだ。
 北海道出身の先輩に聞いて謎が解けた。僕はまったく知らなかったのだが、絆創膏は地域によって呼び方が違うのだそうだ。神奈川出身の僕がバンドエイドと呼ぶそれを、沖縄ではリバテープというらしい。戻ってきたさっきの同僚にことの次第を話した。沖縄出身の彼女もまた、絆創膏の呼び名が地域で変わることを知らず、だから僕が「リバテープ」を認識しないなんて、露も思わなかったという。そして僕がバンドエイドといったのを聞いて、お前はなにを気取っているんだ、と思ったそうだ。沖縄人は「バンドエイド」という響きに、えらく格好を付けた印象を受けるのだと。どうりで話が噛み合なかったわけだと笑っていると、先輩が「北海道ではサビオっていうんだよ。」と教えてくれた。
 絆創膏のことをカットバンと呼ぶ看護師や医師は多い。いまいる病院でもそうだし、以前いた横浜でもそうだった。看護学生時代に実習でいったあちこちの病院でもよく耳にした。思い返せば小学校の保健室の先生も、カットバンといっていた。医療従事者以外の人がカットバンと呼ぶのを、僕は聞いたことがない。だから「カットバン」というのは専門用語なのか符丁なのか、なんにせよ医療界特有の言い回しだと思っていた。でもいまとなっては、そうともいい切れない気がしている。絆創膏のことを、誰もがカットバンと呼ぶ地域があってもおかしくはない。

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