あるとき自分のレターボックスに勤務表を見つけ、ワクワクしながら開いてみると、頼んでいないのに3連休がついていた。カレンダー通りのオフィスワーカーにしてみれば3連休なんて毎月あるし、騒ぎ立てるようなものではないのかもしれない。でも僕にとっては一大事なのだ。普段はまずあり得ない。もし欲しければ前々から上司にお願いしておく必要がある。3連休は向こうからはやってこない、自ら赴いてこそ獲得できるものなのだ。そんな貴重な3連休を突如与えられたので慌てた。どうしよう、どこにいこう。
旅行予約のウェブサイトを引き、2泊3日でいけるところを探してみる。沖縄からはやっぱり台湾が手軽だ。あれやこれやと迷っている暇はない、取り急ぎ往復の航空券を買った。さて、どんな旅にしようか。
のんべんだらりと過ごせば3日なんであっという間に終わってしまう。ある程度テーマを絞った方がいい。何年か前にいったときは台北で食べまくった。とても楽しい旅だったけれど、それをもう一度なぞっても満足できないことは知っている、いっそ台北は避けようか。「台湾」をキーワードに画像検索をしてみる。下へ下へスクロールしていると、回転する橋を中心にして鉄道の線路が八方に広がる写真が目に入り、指が止まった。彰化の扇形機関庫だ。蒸気機関車の向きを変えるための施設で、いまだ現役で機能しているという。実際に動くところを見てみたい。今度は「台湾 鉄道」と検索してみた。黄色と橙の縞模様が印象的な車両の映り込んだ風景写真が画面に並ぶ。ゆっくり走る列車の窓から、畑や山の景色を眺めるのはどうだろう。ノスタルジックな木造の駅舎も魅力的だし、臺鐵便當と呼ばれる駅弁も美味しそうだ。よし、「鉄道の旅」にしよう。
集集線は二水と車埕を結ぶ30kmあまりのローカル線で、路線図を見ると車埕はほかのどの路線ともアクセスしていない。つまり終着駅が行き止まりなのだ。その上単線とくれば、のどかな田舎の風景を走ることは簡単に想像できる。旅情を味わうにあつらえむきのはずだ。
台中から在来線に乗り、扇形庫のある彰化で乗り換え、始発の二水にやってきた。一番はずれにある集集線のプラットホームには人っ子ひとりない。しとしとと雨が降る。芯まで冷えたころにようやく2両編成の客車が入線した。乗務員の交代や車内点検をのんびり済ませてから、数えるほどの客を乗せて発車。がたんごとん、がたんごとん。さとうきび畑の中をゆったりと進む。がたんごとん、がたんごとん。旧型ディーゼルエンジンの発する、振動と音がいい気持ちだ。がたんごとん、がたんごとん。冷えたからだが足下から徐々に温まる。がたんごとん、がたんごとん。しばらくすると山を登りはじめた。エンジンが少しがんばって振動が大きくなる。緩やかなカーブを右に左に抜けながら坂を上がる。がたんごとん、がたんごとん。うっそうとした森の中を一層ゆったり走る。大きな濃緑の葉に遮られ、辺りは薄暗い。がたんごとん、がたんごとん。がたんごとん、がたんごとん…。
だめだ…眠い。起きていられない。すべての要素が睡魔に味方している。車窓を楽しみたいとふんばったが抗うことはできず、僕はついに目をつぶった。
往復2時間あまりの乗車、結局そのほとんどをうたた寝して過ごしてしまった。でも悪くはない。あんなにぐっすり眠ったのはいつ以来だろうか、二水に戻ったときには驚くほどすっきりしていた。
日々の仕事に疲れきっている方、ストレスで寝付き寝覚めの悪い方、台湾にいって鉄道に乗ると、とてもよく眠れますよ。
旅行予約のウェブサイトを引き、2泊3日でいけるところを探してみる。沖縄からはやっぱり台湾が手軽だ。あれやこれやと迷っている暇はない、取り急ぎ往復の航空券を買った。さて、どんな旅にしようか。
のんべんだらりと過ごせば3日なんであっという間に終わってしまう。ある程度テーマを絞った方がいい。何年か前にいったときは台北で食べまくった。とても楽しい旅だったけれど、それをもう一度なぞっても満足できないことは知っている、いっそ台北は避けようか。「台湾」をキーワードに画像検索をしてみる。下へ下へスクロールしていると、回転する橋を中心にして鉄道の線路が八方に広がる写真が目に入り、指が止まった。彰化の扇形機関庫だ。蒸気機関車の向きを変えるための施設で、いまだ現役で機能しているという。実際に動くところを見てみたい。今度は「台湾 鉄道」と検索してみた。黄色と橙の縞模様が印象的な車両の映り込んだ風景写真が画面に並ぶ。ゆっくり走る列車の窓から、畑や山の景色を眺めるのはどうだろう。ノスタルジックな木造の駅舎も魅力的だし、臺鐵便當と呼ばれる駅弁も美味しそうだ。よし、「鉄道の旅」にしよう。
集集線は二水と車埕を結ぶ30kmあまりのローカル線で、路線図を見ると車埕はほかのどの路線ともアクセスしていない。つまり終着駅が行き止まりなのだ。その上単線とくれば、のどかな田舎の風景を走ることは簡単に想像できる。旅情を味わうにあつらえむきのはずだ。
台中から在来線に乗り、扇形庫のある彰化で乗り換え、始発の二水にやってきた。一番はずれにある集集線のプラットホームには人っ子ひとりない。しとしとと雨が降る。芯まで冷えたころにようやく2両編成の客車が入線した。乗務員の交代や車内点検をのんびり済ませてから、数えるほどの客を乗せて発車。がたんごとん、がたんごとん。さとうきび畑の中をゆったりと進む。がたんごとん、がたんごとん。旧型ディーゼルエンジンの発する、振動と音がいい気持ちだ。がたんごとん、がたんごとん。冷えたからだが足下から徐々に温まる。がたんごとん、がたんごとん。しばらくすると山を登りはじめた。エンジンが少しがんばって振動が大きくなる。緩やかなカーブを右に左に抜けながら坂を上がる。がたんごとん、がたんごとん。うっそうとした森の中を一層ゆったり走る。大きな濃緑の葉に遮られ、辺りは薄暗い。がたんごとん、がたんごとん。がたんごとん、がたんごとん…。
だめだ…眠い。起きていられない。すべての要素が睡魔に味方している。車窓を楽しみたいとふんばったが抗うことはできず、僕はついに目をつぶった。
往復2時間あまりの乗車、結局そのほとんどをうたた寝して過ごしてしまった。でも悪くはない。あんなにぐっすり眠ったのはいつ以来だろうか、二水に戻ったときには驚くほどすっきりしていた。
日々の仕事に疲れきっている方、ストレスで寝付き寝覚めの悪い方、台湾にいって鉄道に乗ると、とてもよく眠れますよ。
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