大阪の四天王寺にいた。聖徳太子が建立した、日本で最も古い仏教寺院のひとつとされる寺で、友だちと待ち合わせをしていた。どんよりと曇り底冷えする夕方、拝観時間を過ぎていてお堂に参ることはできなかったので、境内の隅で友だちがくるのを体を揺すりながら待った。
しばらくすると、一足先に寺に着いてお参りをしていた友だちが出てきて、大阪での旅の仲間が全員揃った。総勢10名あまり。ひさしぶりの再会だったが挨拶もそこそこに、まずはどこか店に入ろうということになった。とにかく寒いので立ち止まっていたくなかったのだ。とはいうものの、この界隈にはたこ焼き屋も串かつ屋も見当たらない。通天閣を目印に新世界方面へ歩きはじめた。あまりの寒さに皆からだがこわばって口数が少ない。四天王寺の山門を出た辺りで友だちのひとりがぼそっとつぶやいた。
「四天王ってさ、ろくでなしブルースに出てきたね」
別の友だちが応える。
「あったね。浅草の薬師寺と渋谷の鬼塚と…あとだれだっけ」
「……」
「そういや、ろくでなしブルースに大阪編ってのもあったな」
「あぁ。修学旅行のやつだ」
「そう修学旅行。前田さんの昔の彼女が登場するんだよね、ポニーテールの」
「「「「ポニーテール!」」」」
「ポニーテール…懐かしい響きだなあ」
「いいよね、ポニーテール」
「うん、いいよ、ポニーテール」
「『ポニーテール』って言葉、ろくでなしブルースで知ったよね」
「そうそう、ジャンプで読んで知ったんだ」
僕たちはかつて、『ランチコート』という言葉もろくでなしブルースから学んだ。
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